TCHについて
- 2025年9月2日
- 歯ぎしり、くいしばりについて
あざみ野すずき歯科クリニックです🦷
今回はTCHという日常で起こる歯の癖についてお話をしたいと思います。
<THCとは>
TCH(歯列接触癖:Tooth Contacting Habit)は、無意識に上下の歯を触れさせる癖のことです。本来、上下の歯は口を閉じたとしても接触することはありません。歯が接触するのは会話や食事の時のみです。本来上下の歯が接触する時間は、調査結果から1日平均17.5分というデータも出ています。
また顔の骨格によりますが、えらの張った四角い形の顔の方は丸顔の片と比べて筋肉の緊張が強く、咀嚼にメインで使用する咬筋が肥大しているケースがあります。こうなると患者さんがTCHをしているいないに関わらず、最悪勝手に咬筋が緊張して、頭痛肩凝りも含めて頭部全体が緊張状態になっている方がいらっしゃいます。
上下の歯を接触させる癖(TCH)を持つ人は、歯の接触時間が通常の人よりも長いため、顎の筋肉に過度な負担がかかっています。顎の筋肉が疲弊が続くと、顎関節が過度な緊張状態になるため、血の巡りも悪くなります。顎関節症になる方の多くはTCHがあります。
<歯列接触癖(TCH)と顎関節症>
顎関節症にはTCH(歯列接触癖)と歯ぎしりが大きく関与していると言われています。
顎の筋肉に過度な負担のかかるTCHと歯ぎしりは、筋肉の緊張や疲労に繋がり、顎関節への負担が増えるため、顎関節症だけでなく様々な不定愁訴に関わっていると考えられます。
歯ぎしり(ブラキシズム)
「歯ぎしり=ギリギリと歯と歯をこすり合わせる状態」をイメージする人も多いでしょう。歯ぎしりは就寝中に起こるので、自分の歯ぎしりに気がつかない人も多いです。ただ、実際は約9割以上の人が、就寝中に歯ぎしりや食いしばりをしています。歯と歯に負担がかかるため、筋肉の緊張や疲労、顎関節への負担も増す一方です。歯ぎしりは咬合習癖(こうごうしゅうへき)として主に3つに分類されます。
咬合習癖(こうごうしゅうへき)
- グライディング
グライディングは、上下の歯を強くすり合わせ、「ギリギリ」というきしり音が聞こえます。寝ている時に多い一般的な歯ぎしりです。歯と歯の過剰接触により、エナメル質や象牙質を損傷する可能性があります。
- クレンチング
クレンチングは、食いしばりの1つで、上下の歯を強く噛みしめる癖のことです。寝ている時に限らず、日中にも起こります。音が出ないことも多く、自覚症状もほとんどありません。
- タッピング
タッピングは、上下の歯をカチカチと過剰に噛む癖のことです。昼夜を問わず起こり、自覚症状もありません。
TCHはどんなときにしている?
基本的には緊張している場面でTCHはおこります。
・ストレスがあるとき
・習慣化した作業で集中するとき(パソコン)
・精密作業 ・家事(そうじ・料理) ・テレビ、スマホ・ゲーム
・重いものを持つとき ・寒い時 ・車の運転中 ・睡眠中
このように日常のよくある行動の中でTCHは生じます。
寝起きに顎の周囲が疲れている方は睡眠中にTCHを起こしている可能性大です。
朝起きた時は何でもないのに午後・夕方になると頭痛だったり顎周囲のだるさを感じる方は仕事中・勉強中のTCHを起こしている可能性大です。
TCHにより歯が浮いた感じ、歯の違和感、歯が接触していないのにじんわり痛い、歯が染みるといった症状がおこることがあります。
TCHチェック
舌の先端あるいは周縁部に歯の圧痕がある
頬粘膜に咬合線がある
唇を閉じた時に上下の歯が接触しているかいないか?
TCHに対してのアプローチは、主にマウスピースと行動認知療法です。行動認知療法は、普段から歯と歯を接触させないように意識する事です。そうする事によって筋肉と顎の負担を減らす事が出来ます。
まれに、筋肉が硬く凝り固まっている人や顔のエラ部分が緊張して張っている人に対してはボトックス注射を行う事もあります。
TCHについて悩まれている方は、ご相談いただければと思います。